友一郎 ①

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 全体的にネズミ色でつやのある肌。濡れ髪を上げた額の青灰色は濃く、眉間の辺りで漏斗(ろうと)型にすぼまっていき、鼻筋へとつづく。模様は鼻の頭にいくにつれてまた太くなり、鼻先のてっぺんはすっかり黒に近い青だった。より特徴的なのは目のまわりで、眼窩の縁のあたりまで鼻の頭とおなじ色で塗り込められている。まるでハロウィンのガイコツの扮装、あるいはパンダのコスプレみたいなファニーフェイスだ。 「どうしたの。人魚を見るのは初めて?」 「いや、子供のころに水族館でなら」  口走ってしまってから、気を悪くされるのではないかと友一郎は思った。だが人魚は、 「オレ、水族館は好きだよ。スタッフのみんな、やさしいし」  と言って、ニッと歯をみせて笑った。  友一郎は砂に腰をおろし、頭をふった。左耳の中に水が入ってしまっていて、頭をふるたびに、ざわざわと不快な音がした。
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