友一郎 ②

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 友一郎は大翔(ひろと)の両親が教えてくれた、大翔の眠る霊園を目指して歩いた。坂の上に共に通った高校があり、それより更に上に霊園はあった。  大翔の墓にはまだ供えたばかりの新鮮な花が活けてあった。彼が亡くなって数ヶ月経つが、いまだに墓前に花を供えに通う誰かがいる。彼が交遊範囲の広い男だったからだろう。  自分はここには来るべきではなかったと、坂を降りながら友一郎は思った。行きに大翔の家を訪ね、仏壇に線香を上げさせてもらったときにはすでにそう思っていた。大翔の両親は老いて疲れ切った様子で、しかもふいに訪ねてきた見ず知らずの男を息子の友人だとは信じられない様子だった。  あの家に、友一郎は一度だけ泊まったことがある。大翔の両親が不在の夜だった。大翔が冷蔵庫から父親の缶ビールをくすねてきて、二人はそれを一本ずつ飲みながら、遅くまで話をした。もう十数年も前のことなのに、友一郎はいまだにその家の間取りを覚えているほどだ。だが今回の訪問では、記憶にない仏間に友一郎は通され、仏壇に線香を上げて手を合わせると、お茶でも飲んでいけという誘いを断り、墓のありかだけを聞いてさっさと家を出た。
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