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やがて海が見えてきた。だが、外洋へと繋がるはずの海は半島や島や防波堤に行く手をはばまれて、小さめの湖にしか見えない。だから、高校時代の友一郎と大翔は、ここから外の世界に出ることばかり、夢見ていた。
フェリーで島へ戻ると、若手の漁師達が仕事の後片付けをしているところだった。
「ども、お疲れっす」
若者達のリーダーが、会社の先輩にでも挨拶するような調子で友一郎に話しかけてきた。友一郎は会釈でこたえた。漁師というよりはマリンスポーツのインストラクターといった風情の男の名が「トオルくん」というのを、友一郎は潜から聞かされて初めて知った。
「潜くんから、話しは色々聴かせてもらってます。毎朝の海水浴場の掃除、ありがとうございます。おかげさまで、今年は海開き前の大掃除が楽になるなって、仲間のやつらと話してるんですよ」
これでは、どちらがよそ者だか分からない。友一郎は苦笑してもう一度会釈をし、さっさと家路につこうとした。するとトオルは言った。
「今度、一緒に呑みましょうよ。俺らと、あと伊達さんとか半島の水族館から出向してきた人達と、皆で。あと潜くんも。きっと楽しいですよ」
やっぱり、ここでは自分こそがよそ者だ。自分で選んだ結果、そうなったのだから仕方ないにしても。友一郎はトオルと別れ、一人で歩き始めた。
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