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友一郎は仕方なくペットボトルをカヤックのコックピットに入れ、落ちていた棒を拾って人魚に近づいた。そして海水を含んで黒っぽくなった砂に自分の名前を漢字で書いた。
人魚は上半身を起こして砂に書かれた文字をしげしげと見つめ、ふーんとうなった。顔よりはだいぶ白っぽい胸から、貼りついていた砂の塊がポロポロと落ちた。そして、
「オレはカヅキ」
と名乗り、人差し指で砂に「潜」と正しい書き順で書いた。
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