妄想アイデンティティー

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ミチコだ。いつも通り特に何のコメントもない投稿は、街並みを映している。特に華美でも何でもない寂れた風景だ。 「え」 よく見たような風景だと思った。 それはこの大学の最寄駅のすぐ近くにある公園から見た景色に似ている気がする。 血の気が引いた。 まさか、自分の周りに存在している人物とは思っていなかった。だからこそあんなに簡単に自撮りを晒し上げられたのだ。 化粧と照明と角度で完璧に切り取った私を後ろからほくそ笑んでいる人間がいると思うと急激にここから逃げ出したくなる。誰、誰だよミチコ、と曲がった思考で洗い直して、一つの可能性にぶつかった。 どうして今までそれを疑わなかったのだろう。あのパリピ集団の中に、居たじゃないか。 ミチコという名前の女は、あの集団の中でも極めて美人の方だった。山谷理子。理系の理に子どもの子でみちこと読むらしい。 初めて出逢った時に話しかけてきたのも理子だった。読みがわからなかった私はみちこを「リコちゃん」と呼んでおり、結局それが定着して、いまだにリコちゃんと呼んでいる。
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