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今にして思えば、あのパリピ集団の中でリコも浮いていたのだろう。だから、必然的に私とリコで歩く機会が多かった。
リコは美人過ぎたし、性格も良かった。あのクソみたいな集団の中で生存できる人間じゃなかったんだろう。
じゃあ私は何なのだろう。
別に美人でも何でもない。人に可愛いと言われる経験よりも、普通やブスと言われることばかりだ。むしろ可愛いとかきれいとか美人だと言われた時、私はきっと心の底からその言葉を信じることなんてできないだろう。
ふいにいつもミチコが私の投稿にいいねを押してくれていることを思い出す。どこで何をしていて、何を感じてどう生きていくのかすら知らない人間だから、その「いいね」に価値があった。
それが実の所私を知った誰かのいたずらや慰めだったとしたら、私はもう耐えられない。これ以上ブスを惨めにしてどうする気なのだろうか。
もしもミチコがリコなら、私はもう一生自撮りなんて上げない。
そう思うくせに、准くんに見合うような有名インスタグラマーになるためには可愛い自分を演出しなくてはいけない。なおかつそれを不特定多数の人間に見られて、更に指先を二度スマホに触れたくなるような投稿を続けなくてはならない。
その道の途中に、途方もない現実がある。
不特定多数に見つけられるということは、つまり自分の身の回りの人間にそれを見つめられる可能性があるのだ。人気になればなるほどその存在に怯えて生活しなくてはいけない。
馬鹿な妄想をした。
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