574人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
指定された通りに板書を送りつける。それがリアルタイムで既読になったのを見ながら、あんな偽善者らしいことを言いながら結局自分もたかるのかよと笑いそうになった。
この連絡先が東祐なんかじゃなくて、水無瀬准だったらいいのに。
それだったら、ちょっとオラオラ系の准くんに無理やり連絡先を聞かれて、別に好きでもないのにあれよあれよと付き合わされちゃうとか、そういう展開になるのに。
この男じゃただノートを目的にした陰キャラ狩りとしか思えない。
萎えた。
さっさと帰って准くんのインスタをチェックしたい。どうせ今度からこの男にも板書を送らなければいけなくなるのだろう。
クソだとは思うけれど、もう慣れた。
私が送った画像を見て何かを言いかけている男の言葉を聞こうとしていれば、目の前で突っ立っていた東がこちらにつんのめってきた。思わず避ける。何だよ、と思って東の後方を見遣れば、これまたよく知った人間が頬を笑わせていた。
「祐ぅ~。この講義取ってたっけ?」
「ああ」
「へぇ~。あ、汐見さんじゃん。何? ナンパしてたの?」
最初のコメントを投稿しよう!