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酷い絶望と共に閉塞感が加速する。今この瞬間にこの部屋にいる私はこの先も永遠に一人だ。
誰にも選ばれることなく死ぬ。准くんはいつになったら迎えに来てくれるんだろう。今すぐ電話がかかってきたらいいのに。
今すぐメッセージが来たらいいのに。今すぐ“今からそっち行って良い?”って連絡が来なきゃやってらんない。准くんの連絡先はどうやったら手に入るんだろう。どうやったら、追いかけてもらえるんだろう。
全部遠すぎる。
使い古したベッドに寝転がれば、ひとりでに骨組みが軋む。孤独の音だと思った。孤独の音って何だよ。
瞼を下ろして准くんを思い浮かべる。いつも笑顔の准くんが眠っている私に迫ってきて、ベッドに乗ってくるところを妄想する。
妄想の世界でなら、いつだって私は絶世の美女だ。でも現実じゃない。現実じゃないから全て無意味だ。
瞼をあげれば、目の前には自分の手に握られた携帯があった。誰かから連絡が来ている。ついさっき准くんから連絡が来ることを祈っていた手前、もしかするとなんて思ったりした。
痛い女だと気づいたのは、その連絡が東からだったためだ。
“明日の4限取ってる?”だと。早速私を板書代わりに使うつもりらしい。取ってないよと嘘を吐く勇気などない。普通に“取ってるよ”と返せば、当たり前のように既読スルーだった。
頭の隅では、んなわけねえだろと言った東の無表情が焼き付いている。
思考停止状態のままインスタグラムを監視している。今日の更新を待っていれば、さっきの自撮りにミチコからいいねが届いた。もはやリコとしか思えない。
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