妄想アイデンティティー

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暗闇に光るブルーライトがドライアイを有毒に突き刺して瞼を痙攣させる。 もう眠らなきゃいけないと思うと眠れない。 何度も更新するフィードがくるくると回って、メリーゴーラウンドみたいだ。相変わらず変わらない世界が退屈を手招いている。 彼の更新はいつも気まぐれだから、真剣に見つめていないといけない。あと5回ページの更新をしたら今度こそダメージの続く瞼を下ろして寝よう、とか、できもしない約束を浮かべる。 1、2、3、4、5、と一分以内に全てを終えて、とうとうベッドランプを点けた。 「なんで更新しないの」 そんなの相手の都合だとわかっていても、これを見て眠るのが日課になった私には理解ができない。 二時間前に切った爪先で頭皮を掻き毟ると、皮膚が抉れた。 痛いと思うのも面倒で爪と皮膚の間に挟まった微かな血をスウェットに擦り付ける。その間も右手は永遠にスマホの画面を上から下にスワイプしている。 「あ、きたっ」 いよいよ寝ようを五万回繰り返してやっと出た投稿にすかさず二度タップした。その瞬間に出るいいねの件数に舌が鳴る。 「誰だよクソストーカー」 しね、と呟きながら、右手で「准くん今日もだいすき」と打ち込んでコメントを決めた。既に12人が同様のコメントをしている。この世には暇人がゴミの数ほどいるのだろう。
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