埋没パーソナリティー

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何と返そうか悩んでいる間に“汐見さんこそ、ちゃんとノート取らなきゃだめだよー”とメッセージが飛んで来て、とうとう吹き出すように笑った。 私がノートを取らなければ、山本はこの単位を落とすかもしれない。 片手間に取っていたノートを見遣って、喉元までせり上がっている笑いを飲み下した。山本、いや、拓哉が必要としているのだから、やってあげるしかない。 仕方ないなあ、と返して、携帯を机の上に置いた。目が合うと、柔らかく微笑まれる。天使みたいな表情だ。 付き合っても良いと思う。 ノートに向き合って、黒板に書かれた雑多な文字をコピーする。できるだけ要点まで盛り込んで丁寧に書き上げる。これがあれば、拓哉が喜ぶ。 ありがとう優しいね。綺麗な字だね。すきだよと、私に微笑んで、きっと私をきつく抱きしめるだろう。 現実も悪くないじゃん。 自分が可笑しい。あれだけクソみたいなパリピ集団が嫌いだったくせに、今ではどうでも良くなっていた。 出席票くらい書いてあげても良いし、何ならノートだって依頼されれば貸しても良い。むしろこの場にいられたら迷惑だ。
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