埋没パーソナリティー

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「何で橋谷?」 呟いても答えはない。永遠に返答のない問いだった。 当たり前だ、今この部屋には父も母も拓哉も橋谷も、東も誰もいない。私一人だけの空間は私を孤独で押しつぶしてくる。全然いいねじゃない。全然よくない。 最低だし消えてほしい。それなのにどうしてウザいとかキモいとか、消えろとか、そういうボタンはないんだろう。 あったところで、永遠に押せはしないのだろうけれど。 視界に真っ白な天井だけが映り込んでいる。 瞼が重い。目が痛い。常に画面を見続けている私の眼球はストレスで爆死寸前だ。だったらさっさと眠ればいいし瞼を下ろせばいい。でもできないから携帯に噛り付いている。自分が生きる1秒間に他の誰かが何をしているのか気になって仕方がない。 拓哉が今どこで何をやっているのか、誰と笑っているのか、何を考えているのか、知っていないと気が狂いそうだ。拓哉にも同じように思ってほしい。それなのにどうして私には連絡してくれないんだろう。どうして私を誘ってくれないんだろう。いつだって構わないのに。常に準備は万端なのに。 どうして私だけがいつも留守番を食らってしまうんだろう。早く私がすきだと言って、私を追いかけてほしい。それでなければ退屈で死んでしまいそうだ。
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