埋没パーソナリティー

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唇が渇いている。 異様に喉が渇いて、息が苦しい。同情のような感情を持っていた人が、急に遠ざかる。まるで自分だけが取り残されたみたいな世界は想像を絶する最低だ。 ミチコ——リコは、何を思って私にコメントしたのだろう。 あんたより有名になった私を見てよって意味なんだろうか。あの時まで同志のように思っていた人間に嘲笑われていると思うと、自分の惨めさが刺さって消えたくなる。 誰も相手にしてくれない。 家族も、ミチコも、拓哉も、クソパリピも、何もかもが私抜きで回り続けている。自分の不必要さに笑えてくる。私いなくても良いじゃん。 むしろいない方が良くないですか? 感情の振れ幅が大きすぎて自分で自分が気色悪い。気持ち悪い。承認欲求の塊は私の方だ。吐き気がする。誰にも必要とされていないくせに、どうして必要とされたい想いだけがこんなに強いのだろう。 独り善がりに塗れた感情が、この部屋のベッドに沈む。見たくない現実に疲弊しているくせに、指先から携帯が離れない。いつか誰かが、私に連絡をしてくれると勝手に信じているのだ。
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