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きつく握りしめてぬるくなっているスマホのロックを解除して、インスタを開いた。唯一私を見つめてくれる人がいる。
「ミチコ」
また呟いた声が消えていく。
つらくなったらミチコからのコメントを見返すようになった。ある時は「頑張ってるじゃん」とか、またあるときは「無理しないで」とか、「大丈夫」とか、いつも私を励ましてくれる。
もうそれがリコでもリコじゃなくてもどうでも良かった。
ミチコにはたくさんのフォロワーがいる。それなのに、なぜか私にだけコメントしてくる。そうして私の陰気に魔法をかけてくれる。大丈夫という言葉を聞いて生まれて初めて、本当に大丈夫なんだと思えた。
ミチコだけが本当の私を知っているし、引くことなく応援してくれている。
死にたいとか、もう無理だとか、自分が嫌いでたまらないこととか、全部全部ぶちまけている。インターネットとかいう馬鹿でかい社会の中で、ただ一人、彼女だけが私を救ってくれた。
ミチコに会いたい。
こんなことを思う私はどうかしている。そう思うから、絶対に言わないでいる。でも、私が私でいられるのは、ミチコの前だけだ。
“集団に溶け込めない自分が面白い。トイレで深呼吸、戻れる気がしない”
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