陶酔サイバーシティー

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「はあ? ばっかじゃねえの? こっち側とか住んでる世界が違うとか知らねえよ。お前が勝手に壁立ててんだろ。それを『はい突き破ってきてください。その人だけ私を好きになれます』ってお前頭可笑しいんじゃねえ? 自分で立てたもんくらい自分で取っ払えよ」 「知らないよ、だって、わたし……、わた、し、だって、変な空気にならないようにせいいっぱいやってんじゃん! 東くんにどんな顔で見られても、頑張ったよ? でも結局こうやって無理してるとこ馬鹿にされて、それだけだよ! これ以上どうしたらいいの!?」 「じゃあお前はそいつらを必要としてんのかよ。拓哉も、橋谷も、全員お前は必要なのかよ。ちげえだろ。相手に与えてないものが自分に返ってくるわけがねえんだよ。そんなこともわかんねえの?」 「だって重すぎて嫌われたくないじゃ、ん……。浮いてると思われたくないし、必死なんだよ、あずま、くん、みたいに、ひとりでなんて、たてない……。ただ人に好かれたくて、気付いてほしくて、それだけなのに」 「おい……、ちょっ」 「見捨てられたくなくて、必死過ぎ、て自分で自分が嫌にな、る。何やっても空回って、誰にも必要と、され、ないのがっ……。それが当たり前でも、つらくて、つ、らくて、本当に……、いやに、なる、ぅ……」
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