陶酔サイバーシティー

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「優子」 久々に呼ばれる自分の名に胸が震えたその瞬間、唇じゃなくて、頬が柔らかく引っ張られる。 がっつりキスだと思った私を笑う声が聞こえる。瞼を薄く開いたら、東は子どもみたいな顔で私を見つめている。 「ばーか。嫌だって言えよ」 襲われんぞ、と言って、私の髪をぐちゃぐちゃに乱した。東は意外に紳士らしい。別に嫌じゃなかったんだなんて言ったら、こいつはどんな顔をするのだろう。 笑ったら、「その顔良いじゃん。割とマシ」と囁かれる。 それだけで胸が壊れそうになるのだから、私は本当にちょろくて困る。
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