キセキ

プロローグ

「ねぇ、覚えてる？」

私の問いかけに、君は答えない。
それでも私は言葉を続ける。

「最初に君と出会ったのは大学のサークルの飲み会だったよね」

君は無言を貫く。
それでもいい。私が話したいだけだから。
私は、君との思い出を、ポツリポツリと語って聞かせた。