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そして 少しずつ
ソイツ が 見え始めた時
「ひっ……」
僕は 思わず 声にならない
声を上げた
ソイツ の顔があるはずの部分には
三日月をひっくり返したような
赤い目 と 裂けた 赤い口 が
あったのだ。
(逃げないと…)
そう頭では分かっていても
身体が 動かない。
ソイツ は とうとう 僕の目の前にまで
来てしまった。
そして 徐ろに 挙げていた
手を 僕の心臓辺り 目掛けて
突き刺したのだ…
その瞬間 僕の意識は刈り取られた。
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