鬼塚の呪縛

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鬼塚の呪縛

体育祭が終わり、僕はいつもの日常へ戻った。健斗も元気そうにしているし、先生も変わりはなかった。二人の関係が変わることは無く、相変わらず先生と生徒の関係性でしかなかった。 しかし変わったこともある。僕に二人の友達が出来たのだ。 月宮さんと本条さん。二人は主従関係で、体育祭がキッカケとなり、今では連絡先を交換してやりとりするほどだ。 昼休みになり、急いで弁当を広げる。いつものご飯。食べ終わると、図書から借りた本を返そうと図書室へ向かった。 …鬼塚は最近ぱったり見なくなった。連絡も無くなり、健斗は「最近見ないねー。」と呟いていた。鬼塚に何があったのか僕には分からないけれど、体育祭の出来事からして鬼塚は生徒会と何かしらの繋がりがあると思っている。 正確には生徒会長と。生徒会長のあの言葉… 『奴隷の分際で。』 『…誰かは知らんが、俺様から逃げられると思うなよ。』 奴隷、というのは鬼塚のことだろうか?それに生徒会長は鬼塚のバックの存在、つまり僕の存在を認知しているようだった。もしかしたらそれが原因で、僕の所に来るのは辞めたのかもしれない。…だとしても、別に心配しないが、業務連絡くらいしてほしいものだ。 (……!?) ドン、と前から衝撃が走り、僕は思わず尻餅をついた。考え事をしていたせいで前の方が見えていなかったんだ。目の前には生徒会の会計、柏木蓮が居た。棒付きキャンディーを舐めている。 (油断した…!) 「ん?あれ、キミ見ない顔だねぇ。」 「すみません!会計様!失礼しました!」 僕はすぐ横を通り過ぎようとすると 「あ、まって。キミ、案外可愛いじゃん。俺とヤらない?」 と肩を掴まれ、腰をツゥーと撫でられた。 「ヒッ⁉︎……ぁ……ゃ……。」 さぶいぼが立ち、体が震える。なんで公共の場でそんな気持ち悪い言葉が吐けるのか分からなかった。そもそも初めましての相手に言う台詞じゃない。足がガクガク震え、力が入らなくなり、その場でペタンと座ってしまった。 「ぃ…ぃや、です…。」 「あれ?キミもしかして初めて?ダイジョーブ!俺、優しいからさ。ね?」 ほほをするりとなでられる。 (怖い) (怖い怖い怖い) (怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い) 「…………ぁ。」 (…やだ。) (……助けて) (……………おに____ 『生徒会室より連絡。生徒会の皆様、2年2組の鬼塚様。至急、生徒会室まで__』 「……ぇ?」 「チッ。なんだよ。いいところだったのに…。」 放送がなり、会計はパッと手を離した。会計はそのまま僕から離れ、廊下を歩いて行った。僕の鼓動は徐々に落ち着きを取り戻し、震えも止まった。 (……今の放送って。) 確か、鬼塚が生徒会室に呼び出されていた。 (…もしかしたら、会って話が出来るかも。) 僕は気配を遮断し、生徒会室に向けゆっくり廊下を歩いた。
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