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『いおりんへ 今度のコンサートでは、ファンレターの曲を歌うみたいですね。楽しみにしています。わたしもWishbirdの曲に元気をもらいながら、小説を完結できるように頑張っています。いおりんやたくさんの人に読んで笑顔になってもらえるような物語。楽しみにしていてください。 熊谷吹より』
「いおりん、またそのファンレター読んでるの?」
吹からのファンレターを読んでいた伊織に声をかけてきたのは、ほたるだった。伊織が振り返り「あぁ」とぶっきらぼうに返すと、ほたるは不気味に微笑む。
「ファンレターというより、普通の文通じゃない?お互い、手紙出し合ってるって聞いたけど?」
「茶化すな!…まぁ、おれもファンレター出してるけどな、事務所やマネージャーも確認してるから、普通のファンレターだよ」
面白がっているほたるに伊織は一瞬慌てるが冷静に返した。
「でも、『ファン・レター』って、彼女がきっかけでできた曲なんだろ?」
「ぼく、そういう話好き!」
黙って会話を聞いていた心愛と想真もほたると一緒になって伊織をからかう。
「…あー、うるさい!もう舞台裏に行くぞ!」
三人にからかわれて恥ずかしくなった伊織は、照れながら手紙を自分の荷物に仕舞ってから控室のドアを開く。そんな伊織をうしろから見ていた三人は『このWishbirdのリーダーが伊織でよかった』と思い笑顔で顔を見合わせながら、伊織のあとに続いて控室を出たのだった。
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