5人が本棚に入れています
本棚に追加
娘は杖を抜いた。
すると水はぴたりと止まった。
娘はマシードに、
この土地のオアシスというオアシスに
この水源の話をして、
水路を引く資金を人を資材をあつめるように言った。
娘は、水路の引き方はこの杖が知っているので
問題ないとも言った。
「この杖は、私達の先祖が作ったもの。
それを私の父や祖父、そのまた曾祖母と
引き継いできたの」
そして愛おしそうに杖をなでた。
それをマシードは見ながら
「なぁ、娘さん。名前を教えてくれないか」
マシードは真剣な声で尋ねた。
娘はその瞳をマシードへまっすぐ向けると
「フィーシュラ」
「そうか、フィーシュラか。
美しい魚という意味だね」
「マシードは
大いなる海という意味だったわね」
二人は顔を見合わせ笑った。
・・・・・・・・・・
そしてその後ーオアシスの緑は広がり
豊かな実りが人々にもたらされた。
そんな中、娘は小さくなった砂漠を歩き続ける。
娘は杖を持っていなかった。
だが、娘の歩いた後にはその足の形に木々が芽吹いた。
娘は人々から「緑の娘」と敬意を持って語られた。
だが、その隣で常に付けられていた男の足跡は
すぐに消えてしまい、人々には知られずじまいだった。
最初のコメントを投稿しよう!