緑の道

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娘は杖を抜いた。 すると水はぴたりと止まった。 娘はマシードに、 この土地のオアシスというオアシスに この水源の話をして、 水路を引く資金を人を資材をあつめるように言った。 娘は、水路の引き方はこの杖が知っているので 問題ないとも言った。 「この杖は、私達の先祖が作ったもの。 それを私の父や祖父、そのまた曾祖母と 引き継いできたの」 そして愛おしそうに杖をなでた。 それをマシードは見ながら 「なぁ、娘さん。名前を教えてくれないか」 マシードは真剣な声で尋ねた。 娘はその瞳をマシードへまっすぐ向けると 「フィーシュラ」 「そうか、フィーシュラか。 美しい魚という意味だね」 「マシードは 大いなる海という意味だったわね」 二人は顔を見合わせ笑った。 ・・・・・・・・・・ そしてその後ーオアシスの緑は広がり 豊かな実りが人々にもたらされた。 そんな中、娘は小さくなった砂漠を歩き続ける。 娘は杖を持っていなかった。 だが、娘の歩いた後にはその足の形に木々が芽吹いた。 娘は人々から「緑の娘」と敬意を持って語られた。 だが、その隣で常に付けられていた男の足跡は すぐに消えてしまい、人々には知られずじまいだった。
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