緑の道

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「おーい、待ってくれぇ」 声をした方に視線をちらりと向ける娘。 彼女の左側の小さな砂の山から 駱駝に乗ったー若者のようだーが 駆けてきた。 若者は、娘の近くにくると 駱駝を降りた。 そして娘に並んで話しかけた。 「なぁ、娘さん。名前位教えてくれないかな。 ああ、俺の名前はマシードだ」 娘は黙殺した。 そして黙々と杖をつきながら歩く。 マシードは、そんな娘の態度にめげず 慎重に話しかける。 「なぁ、さっきのつむじ風さ、 あんたがやったの? だったら魔法って本当にあるんだな」 すると娘はピタリと足を止めて マシードを見て 「あなたは『あれ』を見たのね。 だったら、あなたも彼らと 同じ目に遭ってもらうわ」 マシードは背中に冷や汗を流しながら 「いや、ちょっと待てよ。 俺はあんたを助けたじゃないか」 「別にあなたの助けなんか要らなかった」 「そ、そりゃそうかもしれないけれど ちったぁ役に立っただろう。 あ、そうだ。あんた魔法が使えるんだろ。 ちょっと俺達を助けてくれないかな?」 「俺達?」 娘は眉をひそめてつぶやいた。
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