君のこと

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「ねぇ、覚えてる?」  休日の昼間、彼女の羽衣と何をするでもなくただスマホを見つつダラダラしていると急にそう聞かれた。  スマホの画面を見たまま返事をする。 「何を?」 「もう!徹、全然話聞いてなかったでしょ!」  急に大きな声を出した羽衣にスマホから顔を上げる。  羽衣はクッションを抱えてこちらを睨むように見ながら怒っているようだった。 「どうしたんだよ」  話を聞いてなかった気まずさと突然怒り出した羽衣に少し驚く。  そんな俺に羽衣はもう一度聞いてきた。 「だから、私が徹に初めて作った料理、何か覚えてる?」 「何だよ、急に。そんなの聞いてどうするんだよ」  急な質問にも驚いたが、その内容にも驚いた。  怒り出したからもっと大事なことを聞かれたのかと思った。  そんなことを聞いて何か意味があるのだろうか。  だらだらし過ぎて働かない頭で考える。  最近はお互い仕事が忙しく、一緒に暮らしているとはいえ朝や晩も顔を合わせることが難しい日もあった。  そんな中、やっと仕事がお互いひと段落して、今日は久々に二人でゆっくりできる休日で、特に何をしているでもなかったがのんびりと過ごしていた。  スマホを見ながらボーッとして話を聞いてなかった事は良くなかったが、こんなに怒る質問だったのだろうか。
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