君のこと

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「これ!これをやりたかったの!」  そう言って羽衣が見せてきたスマホの画面には『カップル相性診断〜あなたのことどれくらいわかる?〜』と可愛らしい文字で書いてある。  少し説明を読んでみると、恋人が自分のことをどれくらいわかるかで相性診断をするもののようだ。  先程聞かれた初めて作った手料理や、初デートの場所、好きな色などいろんな質問が並べられてある。  こんなので相性など分かるはずもないと思うのだが、羽衣はやりたいらしい。  何かやらなければいけない理由があるのだろうか。   「そんなのやってどうすんだよ」 「いいでしょ。答えてよ。ね、お願い」 「い、や、だ」  羽衣は先程とは打って変わって、可愛らしく小首を傾げて甘える声でねだってきたが、そんな小っ恥ずかしいこと答えられるわけがない。  断って羽衣から顔を逸らし自分のスマホを見始める。  そんな俺に羽衣は少し責めた口調で話し出す。 「もう、少しくらい答えてくれてもいいでしょ!」 「やだよ。そんなこと答えるの」    羽衣の方を見ずに返事をする俺に羽衣は更に怒ったようだった。 「もう、徹のバカ!」  羽衣はそう言って、ソファの上で三角座りしながらクッションを抱えそこに顔を埋める。  そんな羽衣を見て、どうしたものかと思っていると鼻をすする音が聞こえる。  羽衣が怒ることも珍しくが、泣くことは更に珍しい。  やっぱり何かあるのではないかと心配になってくる。
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