♯1 【占いの館 MARIA】

1/1
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

♯1 【占いの館 MARIA】

「【占いの館 MARIA】へようこそ!」  魔女のようなコスチュームを(まと)った美少女は妖しく微笑(ほほえ)んだ。  間近で見ても(いく)つくらいなのか、年齢不詳だ。  一見、肌の張りや(ツヤ)からすると女子高生にも見えるし、妖艶で落ち着いた様子からすると二十歳前後にも思える。  とにかく端正で綺麗な顔立ちだ。  まるで、精巧に出来た西洋のお人形さんのように可愛らしい。  (まば)ゆいばかりの金色(ゴールド)の流麗な長い髪をしている。  あまりにも整っているので、生身の人間ではないみたいだ。  まるで漫画か、アニメから飛び出してきたような美少女だ。   「当館(とうやかた)の占い師、安倍マリアです。アナタの未来を占いましょう」  心地よい素敵な声だ。 「安倍マリアさんですか……」  ずいぶん変わった名前だ。  クリクリとした大きな瞳が妖しく光りを帯びた。  テーブルにはタロットカードが並べられていた。おそらく このカードで占うのだろう。  お香なのだろうか。占いの館内には気持ちが落ち着つくような良い匂いが漂っている。 「ただし……」安倍マリアの瞳がキラッと(きら)めいた。 「えェ、ゴクッ、ただし……?」  僕は緊張からか、生唾を飲み込んだ。 「ご希望する未来が叶うとは限りません。  いかが(いた)します……」 「は、ハイ……、わかりました。  宜しくお願いします」  僕は(かしこ)まって頭を下げた。  ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!