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レン、か…。改めてまじまじと彼を見てみると、彼がかなりのガタイを持っていることに気がついた。当たり前のように私より背が高いうえに優しさも滲み出ている。きっといい男でモテるんだろうな、とか勝手なことを考える。
「あなたも殿下のナイトを?」
「いやいや、そんなことはありません。殿下のナイトはミシェル殿だけで十分ですから。私はシェフです」
「え⁉︎そのガタイで!?」
言ってからしまったと思った。人を外見だけで判断するのはよくない。
「はい、よく言われます。もちろん貴方にもかつては間違われました」
その優しい笑顔を見て、なんだかすごく申し訳ない気持ちになる。でもこの身体の中に入ってしまったのは私の所為ではないし、それにここで謝るのはずるい。
「こちらです。では」
私はとある立派な部屋に通された。ここが、私の部屋…?
生活感があふれるキッチンに、ぐちゃぐちゃにまとめられた洋服がベッドの上に渦高く積まれている。洗濯していないわけではなく、着る洋服に迷った形跡が残っている。
「…手洗うか」
外から帰ってきた時まずするのは手洗いだろうと思って、私は洗面台の鏡の前に立った。そして唖然とした。
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