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「華夜…?」
一刻も早くこの場を立ち去りたいのに、なのに肝心の友人は全く反応がない。
そんな華夜子を焦れったく思い、留以は肘で数回彼女を突く。
「…ごめん、行こ」
やっと我に返った華夜子が扉に手をかけた時、こちらに向けて陸が突然口を開けた。
その行為を訝しがり、華夜子が瞳を細めれば、やがてそこから赤い舌先が覗く。
先程までの情事を彷彿とさせる舌使いで、口紅の跡を舐め回してみせる陸に、華夜子の頭の芯がかっと燃える。
華夜子の細い眉が忌々し気に顰められたのを確認し、陸は薄い唇の端を上げて不敵に笑った。
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