4 予想外の謝罪

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「もしもまた俺が、華夜子の嫌がる事をしたとしたら。その時はいくらでも蹴ってもらっていい。そう思ってるくらいには、真剣に悪いと思ってる」 「…私、あなたよりも年上なんだけど」 今までのふざけた口調とは異なる真面目な謝罪が、華夜子の中のわだかまりを溶かす。 「『昨日は済みませんでした。もう二度としないのでどうか許して下さい、華夜子さん』…って、きちんと謝って」 陸の胸から顔を話し、華夜子は大仰に上から命じる。 見合った彼は心底びっくりしたようだったが、やがて白い歯を覗かせた。 「『昨日は済みませんでした。もう二度としないのでどうか許して下さい、華夜子さん』…だから」 華夜子の台詞と寸分の狂いもないそれを口にし、陸は願った。 「笑ってよ、華夜子」
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