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昨日は、無理矢理連れ込まれちゃってさあ-陸はのんびり、話し始める。
「乃愛に誘われるままやってたら、おねーさん達が」
陸は華夜子の顔に自分のそれを限りなく、近付ける。
「ご飯食べようとしてたんだよね?ごめんね、邪魔して?」
覗き込まれれば、清涼感のある香りが華夜子の鼻孔に届く。
香水なのか、シャンプーなのかは分からないが、彼から漂う芳香に酔わされる。
彼になんの興味もないのは確かなのに、不覚にも思わず胸が高鳴ってしまう。
匂いに縛られた華夜子が黙っていると、陸は言葉を続けた。
「さっき廊下で会った時に謝ろうとしたのに、おねーさん明らかに俺の事避けてたからさ。あんな話しかけないでオーラビシバシ送ってこられたら、流石の俺も無視できないよ。だからおねーさん困らせないように、一旦気づかない振りして擦れ違った後、急いで追いかけて来た」
屈託なく笑い。
昨日の去り際と同じように赤い舌先を出し、陸は乾いた自らの唇を舐めてみせた。
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