病院にて、母と。

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 左手に大きな自然公園を臨み、そこを通り過ぎるとそのまま山道となった。時刻は19時。何故こんなに遅い時間に制服を返しに行くのかと言うと、今日は私も母も朝から用事があり、この時間になったのだ。制服の返却は別日でもいいのだが、こういうのは早く済ませておきたくて、病院内にある清掃員用の事務所が21時までは開いているのを知っているので、今から返しに行って良いか確認を取ってこの時間になったのだ。  少し暑い程度の気温であるが、今は7月で、夏ど真ん中である。  私は半袖のTシャツにジーンズというラフな格好だが、冷房もつけていない車内はやはり暑く、何だか嫌な汗を掻いていた。  先程まで流れていた流行曲は鳴り止み、ラジオはニュース番組に切り替わっていた。  なにやら最近、全国各地で心霊現象が多発しているらしい。心霊現象など、そういった話を根っから信じていない私は、そんなことあるわけないでしょ! と内心呟いて、それからニュース番組の内容は頭に入ってこなかった。 そして、元職場である総合病院に着いた。
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