お仕事①

2/4
前へ
/26ページ
次へ
役職が決まった次の日___ 燈夜は朝から昴に連絡を取っていた。 一応、役員全員の役職を伝え、さらに、役員制度にあるホームルームの出席と、定期試験の結果で授業免除の話が本当か否か確かめていた。 結果としては、授業免除は認められた。 「朝からすみませんでした。ありがとうございます」 『燈夜からのモーニングコールなら大歓迎だ』 「あはは。あ、それと、生徒会役員しか役員がいないなら、風紀委員専用室は要りませんか?」 『ま、そうだな。なんだ?部屋使いたいのか?』 「ええ。僕に、生徒会長専用室として頂けませんか?」 『あーそうだなぁ……燈夜、今度俺に付き合え。そしたら、やる』 「……何処に」 『プランは俺が考えておくから、安心しろ』 「はぁ……わかりました。それと、大道寺を学院内に、というより、生徒会長専用室にいさせますので。学院のこと以外にも色々やることがあるので」 『大道寺?誰だ……ああ、燈夜の執事か』 「はい。では、そういうことですので」 『燈夜、口調が固くなってる』 「……はぁ。じゃあ、そういうことなんで、また」 『ああ。またな』 さらに、大道寺を学院内に入れることも許可が降りた。 (付き合えって……まぁいいや。大道寺には言っておこう) 学院内でも仕事ができるようになることは、燈夜にとって昴に付き合わなければいけなくなったことよりも、重要なことだった。 (流石に、学院内のことは手伝ってもらえないけどね~……僕の自分の修行かだいもね) 斯くして、生徒会長専用室を手に入れ、執事も配置できるようになったのだった。 ◇◇◇ 「燈夜」 ホームルームが、終わって教室を出たところで燈夜は声をかけられた。声をかけた人物は、担任の豪だった。 (郷宮先生が何の用だろ?) 「はい。何ですか?」 「今日から、授業免除ってぇのは聴いた。だが、他の役員は殆ど授業に出るだろうから、役員の仕事はできるとこまででいいからな」 「あ、はい。そうは言っても、今のところ前期分の学年毎の目標決定の必要書類を作成するだけですし」 「まぁな。そうなんだが、それが終わったら5月の新歓まで何にもやることなくなるからなぁ」 「ああ。5月の新歓で役員を正式に発表するんでしたね。今日、終わらせちゃえば、その準備が始まるまで生徒会はお休みですもんね。やっぱり、終わらせちゃって、資料は後で届けますね」 「あ?あー……んー」 「先生、それではまた」 5月の新入生歓迎会まで今日から1ヶ月程ある。準備期間は2週間前から始まるとしても、まるまる2週間、生徒会として集まりがないのは|燈夜にとってはありがたかった。 (これで、生徒会長専用室にこもって仕事を片付けられる) 他の役員達は今日からまるまる2週間、燈夜と過ごせる生徒会集会じかんを失った。 その事を知るのは、昼休みだった。 ◇◇◇ ホームルームが終わって1限が始まろうとしていた。しかし、2年A組には、燈夜の姿はない。 ホームルームが終わって燈夜が出ていく前に、他のクラスに用があって席を外していた彗と豹は自席に着いたところで気がついた。 「あれ?彗、燈夜はー?」 「は?あれ?何でいないんだ?」 「生徒会は、オレたち呼ばれてないからないよねー?」 「ああ」 そこで、二人はクラスメイトから燈夜がホームルーム後に教室を出たことを聴いた。また、1限の担当の教員から点呼のときに燈夜が全教科の授業を免除になっていることが明らかになった。 彗と豹も含め、クラス全員はその事実に唖然とするだけだった。 ◇◇◇ その頃、生徒会長専用室では___ 朝から部屋で待機していた大道寺が、燈夜のために仕事がやり易いようにと、部屋の内装を一新し、燈夜を部屋に迎えていた。 「うわぁ……なんだか、本邸の僕の仕事部屋みたいだね」 「はい。現在のお屋敷の仕事部屋でもよかったのですが、此方の方がより良いかと」 「そうだね。此方の方がいいかも。ありがとう大道寺」 「いいえ。燈夜様の・・・・ためですから」 「僕の仕事効率アップの・・・・・・・・ためでしょ」 「さて、始めましょうか」 「あ、待って。僕は先に生徒会の仕事終わらせるから、先に大道寺だけでやってて」 「左様でございましたか。畏まりました」 二人は会話が終わると、各々、自分の仕事に取り掛かっていった。 一時間程で、燈夜は生徒会の仕事を早々に片付け、大道寺と共に家の仕事に取り掛かる。 仕事は2種類。1つは両親の仕事の手伝いで、殆どが書類整理や、書類の訂正。もう1つは、次期当主としての修行関係。 「燈夜様、今日の分の旦那様と奥様の仕事の方は片付きました」 「やっと終わったぁ~疲れたよ~」 「お疲れ様でございます。そろそろ、お昼休憩になさいますか?」 「ん~もうそんな時間かぁ。そうだね、お昼休憩にしよ?」 そこで、燈夜はスマホの電源を入れた。 燈夜は、仕事中は緊急連絡以外受け取らないように、私用はオフにしている。 電源を入れると、メールと電話がすごい件数になっていた。それも、昴から一番多く入っていた。 (うわぁ……昴さん暇なの?役員の皆からも何か連絡入ってるし……) 「どうかなさいましたか?」 ランチの準備を終えた大道寺が燈夜に声をかけた。 「それがね、昴さんと役員の皆から連絡が入ってて、何でもカフェテリアでお昼を一緒に食べないかって」 「ほう……そのようなことを」 「あ、断るけどね。カフェテリアは魅力的だけど、もう準備してくれてるし、資料があるのにこの部屋から出られないしね。ま、簡単にはこの部屋に入れないようにしたけどね……。 それはそれとして……僕は単に、屋敷だと大道寺と一緒にご飯食べれないから、せめてここでは一緒に食べたいと思っているしね」 「左様でございますか。そうですね、使用人としての立場がありますので」 「此処では仕事仲間でもあるから、いいよね?」 「他の使用人には、内緒ですよ。私、まだ殺されたくありませんので」 「ふふ、大道寺は冗談も面白いよね。でも、内緒ね」 「お茶を用意して参ります」 大道寺が、お茶を用意している間に燈夜は一斉に丁寧な断りを伝える文と、役員の仕事を終わらせ、今日から2週間、生徒会集会をしなくていい旨をメールで伝えた。 直ぐ様、昴と他の役員から2週間集会がないなら、放課後は暇か等の返信が来た。 燈夜は、昴にだけこの部屋の件があるため、『来週末の金曜日の放課後から』なら空いていると返信して、また電源を落とした。 「お茶がご用意できました」 「じゃ、ご飯にしようか」 二人は自分達以外いない静かな最上階の部屋で、優雅にお昼休憩をと
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加