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男友達
携帯がしばらく鳴った後、プツリと切れた。
車を左に寄せハザードランプをつけて、路肩に停車させる。
助手席にある鞄の上に置いた携帯を取り、履歴を見て掛けなおす。
3、4回コールする。
《おう! もしもし? 杏?》
低く落ち着いた声。
「ごめん、鷹取。運転中だったの。どうしたの?」
《あぁ、わりぃ。今、話してて大丈夫か?》
「うん、大丈夫」
《杏、今日、仕事終わってからの予定は?》
「ん? 別に何もないけど」
《じゃ、飯行こうぜ》
「えっ! うん、いいよっ!」
《その時に会わせたい奴がいる》
「ん? 私に?」
《あぁ、杏に》
「分かった……」
《じゃ、6時過ぎに迎えに行く》
「うん…」
電話を切って、スマホの画面を見て考えていた。
(私に会わせたい人…? 何だろ……)
電話の相手は、鷹取 圭吾。
私、深見 杏の元同僚で、今は男友達。
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