好きの量

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「杏、これ、使ってねぇの?」 「えっ…」 「チェストの上に飾ってないでさ、使えよ。一応なんだし」 「いや、そうだけど…」 圭吾がチェストをジッと見る。 「なぁ杏、このチェストの中、何が入ってるんだ?」 「えっ……」 「リビングに置いてるから、見られて困るような物でもないよな。見ていい?」 「い、いいけど……」 彼がそっと1段目の引き出しを開ける。 「へっ?」 1段目にはこのあいだ圭吾と行った、水族館の入場券と買った物のレシート。 「な、何これ…水族館の入場券? とレシート? えっ……このあいだの?」 驚いた顔で振り向いて、私に聞いた。 私も彼の隣に座り、引き出しの中を見る。 「そう…このあいだ、圭吾と行った時のヤツ」 「いや、これだけ? えっ、下は?」 2段目の引き出しを開ける。 もちろん中はカラだ。 「えぇ! なんも入ってない。もしかしてチェスト買ったばっか?」 私は黙って首を横に振った。 「じゃ、入れる物がないのか?」 うつむいて返事に困っていた。
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