王妃オフィーリア

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キャメロットの遺体から真っ白な封筒が落ちて来た。 怪訝に思った処刑人が封筒を欄雑に開ける。 其処には丁寧に綴られた手紙が入って在った。 『最愛なるオフィーリアへ あゝ、美しきオフィーリア。 此の文が貴女の許に届いて居ると良いのですが。 私達ヲ引き裂く運命と云う名の鎖ニ依って命迄もが奪わレる! 最期に貴女との想ひ出ヲ此処ニ記させて戴きます。 想えば、出逢った日の貴女は美しいだけでは無く、何処か愁いを帯びた女性でした。 あの時の貴女は、確か朝露の滴る薔薇園で一人涙していて。 其の時の貴女を私は放って置く事なんて出来なかった。 あの時、貴女にハンケチを差し出したあの衝動を私は昨日の様に想い出します。 貴女は王妃としての無言の重圧に苛まれて居たと仰いましたね。 未だ若い貴女には王妃は荷が重い、とも。 貴女のあの時の涙を浮かべた御顔を不謹慎ながらも美しいと思い乍眺めて居ました。御許しを。 其れからも貴女は時折朝露の滴る薔薇園で泣いて居ましたね。 私は其の度に貴女の御話を聞くしか出来なかった。 或る日、私は居てもたっても居られなくなり、貴女を抱き締めた。 貴女は、私の胸で泣き続けた。 其の時に薔薇の竜巻が起こり、貴女は漸く笑って下さった。 其の時の貴女の笑った御顔は、泣き顔撚りも美しかった。 今でも目を閉じたら貴女のあの時の笑顔が目に浮かびます。 最期に云います。 私は、死んでも貴女と再び薔薇園に逝きたいです。 騎士キャメロットより』 処刑人ハ居た堪れなくなり、薔薇園ノ土ニ手紙ヲ埋めた。
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