私は自由が好き

　昔から整理整頓が苦手だった。
理由は明白だった。お母さんが次から次へと余計なものを買ってくる性格だったからだ。
きっとお母さんに悪気はなかったのだろう。
ただ、「もったいない」という感性を持ち合わせていなかっただけなんだと思う。

　私が国民的女児向けアニメにハマった時は新しく二枚目の下敷きを買ってくる人だった。
二枚目なのは偶像だけでいいと思い、アイドルにハマった時は今度はファイルを買ってくる人だった。
三枚目はさすがにないだろうと芸人にハマったときにはライブのDVDをわざわざネットで取り寄せた時はさすがにあきれた。
そんなお母さんに育てられたものだから私の部屋はいつもものでいっぱいだった。
整理整頓が苦手だったのはする必要がなかったからだろう。どうせ私の部屋はぐちゃぐちゃになってしまっていたから。

　今は違う。大学への進学をきっかけに私は一人暮らしを始めた。
新しい日常は快適だった。必要最低限のものを買って。自分の困らないように整頓する。勉強机もすっきりして、勉強ははかどる。
私は誰よりも自由なはずだった。
そんな私の前に余計な「つながり」を持ち込んできた彼がやってきたのはいつだっただろうか。