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そんなある日、樹に週末に図書館に行かないかと誘われた。
今まではなんでそんなことに時間を使わないといけないのだろう。
と考えていたような気がする。
ただ、樹と話すうちにそんなことを気にするのはどうでもいいと感じてきた自分が確かにいた。
「図書館なら大学にあるのにどうしてわざわざ図書館に行くの?」
と聞くと樹は微笑みながら
「もっと面白い本があるからだよ。」
と言った。
確かに大学の図書館って難しそうな本ばかりだけどわざわざバスまで使うのか。そう言った労力の使い方の違いで私たちはいろいろ違うんだなと実感しする。
そうして私たちは図書館に到着した。
図書館の空間は私は好きだった。
静かな空間でお互いに干渉もしない人たちが集まっている空間がそこにはある。干渉はしないけれど一人じゃない。そこに人がいると感じられる暖かい空間が好きだそういう話を樹にしたら「今の表現、素敵だね。」と笑ってくれた。ずらっと並ぶ本を二人で眺めながら樹は作者の文章の特徴を解説してくれた。この作者は一文一文が詩のように美しいだとか。この作者はひねくれた文章を書くのが上手だとか。この作者は自然な文章ですらすら読めるとか。
樹のプレゼンに惹かれ、私はどっさりと本を借りてきた。
そうして本を読むと樹との話題も広がる。
それが私にとってなにより楽しかった。
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