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次の週には私たちはショッピングモールにいた。
樹が図書館にも面白い本はたくさんあるけど、本屋に並べられた目を引く帯を見ながら本を選ぶことも楽しいよ。と言ったからだ。
私は半信半疑だったが樹のいうことは本当だった。
図書館に並べられた本が博物館の展示物のような魅力だとするならば、本屋に並べられた本は思わず手に取って持ち帰ってしまいたくなるような宝石のような魅力があった。
そんな中で私は気になる本があった。
大物ミステリ作家が描く宝石をモチーフにした短編集だった。
数ある宝石のような本の中でその一冊だけが輝いてたような気がした。
じっくりとその本を眺めていると、なんと樹がその本を買ってくれた。
そんな無駄遣いをするなんて私には到底考えられなかった。
やめときなよ。といったら樹は
「無駄の中で人々は豊かに、自由になっていったんだよ。」
と返した
あの日の授業のことを思い出させるような言い方に私は勇気を振り絞ってその一冊を素直に受け取ることにした。
この一冊が私の今までの何かを変えるきっかけになるかもしれないと直感で思ったのだ。
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