テレビの中の君

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仕事終わり、料理するのも面倒な水曜日。 帰宅してすぐにシャワーを浴びてテレビをつけた。別に見たい番組などないしドラマも見ない。 それなのにテレビを捨てない理由は一つだ。 「お、拓海だ!」 バスタオルで髪の水分を蒸発させながら私はテレビの中の幼馴染に夢中だった。今度放送されるドラマの番宣にバラエティー番組に出演していた。 彼は間宮拓海 19歳の頃にスカウトされて芸能界の道へ進んだ。 小さなころから一緒で(家が近所で)弟的存在の彼にとって私は彼の姉だと勝手に思っている。 一人っ子だった私は彼を弟のように可愛がっていた。 「へー、めっちゃイケメンに見えるなぁ、」 冷蔵庫から缶ビールを取り出してつまみを適当に探して食べ始めた。 ちょっぴり寂しい気持ちもするけどそれでも私は彼を誰よりも応援していた。 ふはーと欠伸をして私は重たい瞼を必死に開けてテレビの中の彼を見る。 お互い別々の道を歩んだけど、今も彼とはしょっちゅう会っている。 忙しいはずの彼は何故か結構な頻度で私の家を訪ねてくる。 もちろん、キスもしたことないしそういう男女の関係はない。だって弟みたいなものだし…多分同じベッドで寝ても何もない自信がある。 ウトウトしているとインターフォンが鳴った。 こんな時間に誰だと思って立ち上がるとそのまま玄関へ向かった。 と。 ドアをノックする音がして拓海だと気づく。 私は勢いよくドアを開けた。 「拓海?どうしたの?」 「朝の6時まで時間もらったからきた」 「えええ、それなら自分の家で寝たらいいのに」 拓海はTシャツにチノパンというラフな姿だった。
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