テレビの中の君

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少し疲れている様子の拓海を視界の端に捉えつつ、私は彼を家に入れた。 テレビに彼が出演していてちょうどそれが流れている。 「あ、俺出てる」 「ふふ、ちゃーんとみてるんだ」 自慢げにそういうと彼も目を細めて嬉しそうにする。 小さかった頃は体も弱くてそのせいでいじめられたりしていたから私はよくそのいじめっ子たちに仕返しにいっていたくらいだ。 なのに、今じゃ私よりも背が高くて芸能人になって…なんだか嬉しいような寂しいようなそんな感情を抱くようになった。 いつものように彼がソファに腰を下ろすと、拓海に何か飲む?と聞いた。 「んー、じゃあ俺もビール飲もうかな、ある?」 「あるよ」 冷蔵庫から取り出したビール缶とコップを彼の目の前に置く。 「ね、こんなにうちにきて大丈夫なの?」 「なんで?」 大きな切れ長の瞳で私を見る。 掴みどころのない彼は傍からみてもミステリアスな雰囲気を纏っていてずっと一緒にいる私でもたまにドキッとすることがある。 色素の薄い瞳がじっと私を、私の心を覗くように見据える。 「あ、来ちゃダメとかじゃないよ?でも、…ほら拓海連ドラの主演も決まったじゃん、なんか週刊誌とかに撮られたら大変だし」 「…」 「少し減らした方がいいんじゃないかな?」 「…」 何も答えない彼の目はどんどん淀んでいく。
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