第一章 息

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 いつもよりずいぶん早く、優希との待ち合わせ場所に着いた。  学校の教室や生徒会室、講堂へ、毎日二人揃って出かけていた。  幼いうちから、ずっと一緒だ。  でも、今日からその風景が変わる。  同じ場所でも、持つ意味が変わる。  俺と優希は、恋人同士になったんだから!  いつもと同じ場所へ、いつもと同じ時刻に、優希は現れた。  いつもと同じ笑顔で。 「おはよう、要人」 「おはよう」  優希の笑顔、少しぎこちないかな、と注意を配る。  彼も、俺と同じように今日の朝を特別に迎えてくれたんだろうか。  世界の色彩は、昨日よりずっと鮮やかに見えるのだろうか。 「寒いな」 「あぁ、もう冬だ」  白い息を吐く優希を見ていると、寒さも忘れる。  体どころか、心までぽかぽかあったかくなってくる。 「な、優希」 「ん?」  長く伸びる、ポプラ並木。  葉はすでに落ち、冬支度の高い木だけがずらり整然と並んで立っている。  まだ朝も早いので、人の往来はほとんどない。  要人は、優希にいたずらっぽく笑顔を見せた。  こっちこっちと腕を取り、一本のポプラの陰にその身を潜めた。
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