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「じゃあさ、優希。こうやって、大きく息を吐いて」
そう言って、要人は白い息を長く吐いた。
朝の冷たい空気の中、要人の吐く白い息は、かすかにミントの香りがした。
「こうか?」
優希は、言われるまま大きく息を吐いた。
冬の空気に、優希の体温が混じってゆく。
その優希の吐く白い息に、要人は自分の吐く白い息を重ねた。
二つの息が、混じってゆく。
二人の吐く息が、一つに重なる。
「要人ッ!?」
「ふふふ。これならいいだろ?」
優希は意外と奥手らしいや。
本当のキスは、しばらくおあずけ。
その代り、冬は毎日こうやって白い息を交わそう。
ほんの少し、二人の間の温度が上がった心地がした。
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