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第二章 手
いつものカフェで、いつものようにベーグルを頼んで。
でも、いつもとは違う要人が優希に一枚の紙をよこしてきた。
そう、僕と要人は恋人同士になった。
以前のようにカフェでベーグルをパクつくことは変わらないが、要人は、より複雑な表情を見せるようになった。
やたらとはしゃいで見せたり、かと思えば急に黙って熱い視線を投げかけてみたり。
優希はと言えば、誰かと深く付き合うなどこれまで経験したことがないので、何も考えずにただそんな要人を受け止めていた。
時に穏やかにそれを見守ったり、時にどきりとして視線を逸らしてみたり。
そして今回要人は、身を乗り出して明るく、しかし声をややひそめて一枚の紙を優希によこしてきた。
それは、カレンダーだった。
「な、優希。明後日から学校3連休だろ? だから明日、俺の実家に泊まりに来ないか?」
「実家に?」
エスカレーター式の学園に通っているので、小学生の頃から要人の寮へ泊まったことは何度でもある。
だが、今回は実家に泊まりに来いというのか。
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