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優希は、ピンときた。
こんな顔の要人を見るのは、これが初めてじゃない。
そして、その後に続く言葉も知っている。
「ちょっと付き合ってくれないか、優希」
軽いため息を同意の返事の代わりに、優希は要人と連れ立っていつもの場所に立ち寄った。
幼い頃は薬局だったその土地は、今では小洒落たカフェが入っている。
ベーグルが美味しいと評判の、チェーン店。
要人はここのベーコンエッグサンドが好物だったが、今日はブルーベリーを注文した。
「ブルーベリーは、目に良いらしいんだ」
「君は年を取ったら健康オタクになりそうだな」
そう言いながらも要人に付き合い、優希は甘い蜂蜜とクリームチーズのベーグルを注文した。
席につき、しばらく無言で口を動かしていた要人だったが、唐突に優希の瞳を覗き込みながらぼそりと呟いた。
「俺、何か性格に欠点があるのかな」
本人は、極めて深刻に悩んでいるのだろうが、優希はその言葉に軽く噴き出した。
「また、別れたんだな。女の子と」
容姿端麗、頭脳明晰、そして明るい人柄と、彼に憧れる少女はごまんといる事を優希は知っている。
そして、そんな彼に勇気を出して、本気で交際を求めてきた少女が、これまで何人いたかも知っている。
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