第二章 手

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 美しく花で彩られた食卓と、磨きあげられた銀のカトラリーを前に、優希は要人と二人向かい合っていた。 「じゃあ、まずは乾杯」 「ちょっと待て。飲酒は大人にならないと……」 「食前酒だよ。ほんの少しだけ。いいだろ?」  髭の次は酒か。  要人、僕を置いてどんどん大人になろうとしているんだな。  それでも、ソムリエが注いでくれたワインは美味しかった。  すっきりとした口当たりだが、渋みが充分に感じられるしっかりした味わい。  ワインに詳しくはないが、相当いいものなのだろう。  運ばれてくる料理も、どれも素晴らしかった。  飽きの来ない味付けとソース。  そして、適度な満腹感。  考え抜いて組み立てられたコースだということが、よく解かる。 「要人の家のシェフは、大したものだな」 「そうか? ありがとう」  本当なら、優希と一緒ならどんな料理だって美味しい、と言いたい要人だったが、周囲に使用人が控えているのでそこはぐっと我慢した。
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