第二章 手

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 食後、要人は優希に湯殿と客間を案内した。 「ゆっくりくつろいできてくれ」  そう言われて通された大理石の湯殿はとても広く、ところどころにグリーンが飾ってある。  すでに蒸気で充分に温められていたので、優希は寒い思いをせずに湯を使うことができた。  本当に、要人の言うとおり心からリラックスして手で湯船の湯をすくうと、なめらかでしっとりとしている。  保湿力の高い湯なのだろう。  湯上りには、肌がすべすべになるに違いない。 「もしかして、温泉の湯を引いてくれてるのかな」  湯上りの優希は、細やかな気配りをもって自分をもてなしてくれる要人に、心から感じ入り感謝していた。  食事に風呂と、これだけの心遣いをしてくれているのだ。  客間もさぞや素晴らしいのだろう。  そう考えつつ、ドアを開けた。  ドアを開けると、穏やかな匂いの香が焚かれていた。  優希の好きな香りだ。  ローテーブルには、冷たい飲み物と軽食が準備してある。  湯上りで喉が渇いていたので一口飲み物をいただくと、優希は奥の寝室へ向ってみた。  おそらく、ほどなくして談笑をしに要人が訪ねてくるだろうから、ただちょっとだけ覗いてみるつもりで、そんな気軽さで寝室のドアを開けた。
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