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第一章 息
ぱちり、と瞼が開いた。
いい目覚めだ。
瞼を開くと同時に、意識もクリアに澄みきっている。
時計の時刻は、アラームが鳴るより30分も早い。
けれど要人は、両腕を上に向かってぐいと突き出した。
何度かこぶしを、閉じたり開いたり。
そして、こみ上げてくる笑顔をほころばせた。
昨日カフェで起きた、この一年で一番素敵な出来事を思い出し反芻する。
優希が、この手に触れてくれた。
友達を越えた絆で結ばれたいと、告白した。
いわゆる、恋人になって欲しい、と。
彼の前に両手を差し出し、もしOKならこの手に触れて、と思いきって言ってみた。
そして、優希の手はこの手のひらの上に重ねられた。
微笑みが、満面の笑みに変わってゆく。
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