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であれば、そろそろ働かねばならない。
母の教えを全て守るためには、働いてお金を貯め、車を買って携帯電話を新しくして、家電量販店で電気シェーバーを購入した後、ライターで靴を炙りティッシュペーパーを買いに行かねばならないのだ。
やはり母の教えは忠実に守らねばならない。
すぐに働き口が見つかるとは思っていないが、まずはアルバイトでもいいので、とにかく何かを変えねばとも思う。
靴が剥げていたり、髭剃りが壊れていることに気が付かない生活なんて、やっぱり異常なんだ。
僕はそう思いながら一旦リビングへ戻り、届いたばかりの遺影に手を合わせる。
今まで、ろくに教えを守らなかった僕だけど、車を買えるくらいまで働いたら、この遺影みたいに何処かで笑ってくれるのかな。
少し目元を拭いたかったけれど、やっぱりティッシュペーパーは何処にも見つからなかった。
〈了〉
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