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話しもお開きになり、片づけをそれぞれ終えたのぶ子と義美もカウンターに並び仕事終りの賄いを頼んだ。店終りにきららの賄いは定番で皆でカウンターで肩を並べて食事をするのは定番だった。
「そういえばペチャパイちゃん昨日の男誰よ?」
「私はペチャパイじゃないですって!」
「ペチャパイって言われて反応してる時点で自覚あんじゃないの。」
「何真澄男出来たの?」
「いやー、そういう訳じゃないんですよ。」
「結構仲良く歩いてたって聞いたわよ、クレープ食べさせあってたんでしょ?」
「なんでそんなこと知ってるんですか!?」
「聖子ちゃんが昨日原宿で見かけたって言ってたのよ、聖子ちゃん昨日同伴出勤で原宿のカルビーショップ寄ってきてその時に見たんだってー。」
桜子ママと言う思わぬ所から情報が出てうろたえる真澄。
それよりも同伴出勤でカルビーショップのチョイス、とツッコミを言おうと思ったが周りから早く言えとヤジが飛びツッコミどこじゃなかった。
「別に気にはなってはいますけどー。」
「そんなんいいからどんな人か言いなさいよ、まどろっこしい。」
「どんなひとって、フリーターやってて趣味で知り合ったんです。」
「フリーターかー、趣味って何よ?」
「野球観戦で知り合ったんです、彼がヤクルトの応援団のトランペットやってて。」
「野球にトランペットって青空エールじゃない、青春ねー。」
のぶ子の言葉に「青空エールって何?」と若い子の情報に疎い桜子は物知りなひとみに聞いていて、ひとみは分かりやすく掻い摘んで説明している。
その横で思いだした様に義美は加奈に質問をした。
「あれ?加奈の彼もヤクルトファンだったわよね?」
「あぁ、一か月ぐらい連絡取ってない。あんな男ダメダメ。」
ラーメンを啜りながら興味ないとひたすら食べ続ける加奈。
一方カウンターの中で「ちょっと待ってなさい。」と言ってスマホを持ってバックヤードに行ったきららがしばらくすると笑顔で帰ってきた。
「あんた達、今度の日曜空けておきなさい。神宮球場の超特等席取れたから。」
「超特等席とかママやるー!今度って対戦相手どこよ!」
「マジ?今一軍誰居るの?慎吾いるかしらー?」
「ママどこに連絡したんですか?どんなコネ?」
「オカマにはいろんな人脈があるの。」
「特等席とか楽しみー。」
「いや、うちのメンバーの席しかないわよ。だいたいそっち日曜は旅行って言ってたじゃないー。」
「そうよ、福井旅行の日よ。もう加奈しっかりしてよー、あんたと一緒に行く倉田さんすっごい楽しみにしてるんだから。」
「あの、なんで福井なんです?もっと箱根とか軽井沢とかあると思うんですけど。」
「福井って恐竜の化石が自分で掘れたりするのよ、それに自分でメガネのフレーム作ったりして去年も好評だったんだから。あとそれから蟹も美味しいし。」
素朴な疑問を言った真澄に丁寧にひとみが答えてくれたが、化石やメガネがメインなところなどオカマの世界はやはりちょっと変わったことが多い故に真澄もついツッコミを心の中で入れてしまうのであった。
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