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試合が始まり最初は投手戦で0が続いていたが四回に打者一巡の一挙七得点を取ったかと思えば広島も野間・鈴木・松山の三者連続ホームランなど巻き返しがあり白熱した試合が続いていた。
「あー、晃大朗惜しいなー。」
「ママあの二番目のトランペット?」
「そうそう、桐谷健太似のイケメンって聞いたわ。」
「あー。確かにあれはいい男だわ。笑顔も素敵ねー。」
「皆さんどこ見てるんですか?」
「あんたの男、かっこいいじゃない。」
打席に集中していた真澄はその言葉で三人の方を見るとカメラや双眼鏡で外野方面を見ていて何してるんだと慌てた。
「いや!川田さんの顔とか知らないですよね?試合見てくださいよ。」
「あら川田さんって言うのねー、下の名前は?」
「それはいいですから、ほら!てっとフォアボールで出ましたよ!」
「川田さんってこの人じゃないの?」
義美の撮った写真を見ると確かに真澄の気になっている川田優介でトランペットを吹いて応援しているところだ。
「な、なんで川田さんのこと知ってるんです?」
「健夫が店の子から桐谷健太似のイケメンだったって聞いたって言うから探したらすんなり。あんたもいい男見つけたわね。」
真澄に話しをしつつも3人は外野から目を話す事はなくしばらく川田の観察の時間になり、真澄も止めようとしたが元は男の力に到底敵わずに諦めて試合に気を戻すことにした。
それから無事に試合は終わり4人は球場を出て外周を歩いていた、試合はホームのヤクルトの勝利で終わったが投手戦からの乱打戦と白熱した試合だった。
「村上君ってホント神ね、4打席連続ホームランとか何よ!可愛い顔してやるわね。」
「いやーグッチにヤラれたわよ、さすが女子の心根こそぎグッチね。カープ女子のあたしまで根こそぎされたわー、森下くんも可愛くて推しなんだけどねー。」
「ってか外国人に負けない顔立ちの通訳さん!マジイケメンだったわ!名前調べないと。」
「あのーこれどこに向かってるんです?」
試合後の余韻を口ぐちに言っている4人は外周に出て一塁側から外野のある16ゲートまで歩いて来てた。
「折角だし神宮の三大ジンクスでも教えて上げようかと思って。」
「三大ジンクス?」
「何それ?七不思議みたい。」
「あんた達みんな知らないの?外壁のどこかにあるつば九郎の落書きしたサインを見つけた人には良いことがあるとか、この柱の金具で一つだけ丸いのが有ってそれを見つけた人は幸せになれるとか知らないの?」
二つのジンクスを教えるきららの言葉にみんな外壁を見たり、柱の金具を見て「あら、ホントに全部逆三角形ね。」とすぐ近くに有りそうなジンクスを探していた。
「なんかよくありそうな話ね、ママあと一つは?」
「野球の最終回と同じ数字の入り口で出会った二人は結ばれるってやつね。」
「なにそれー、超ざっくり!大体最終回って何よそれ、ちょ!真澄急に止まんないでよ危ないわね。」
「何?あ、はいはい居ましたトランペットボーイ。」
立ち止って真澄が見つめる先には試合中にみんなで、散々観察した川田優介が他の応援団員と話していてこちらの真澄に気付き手を挙げた。
「早く行きなさいよ。」とのぶ子がドンっと真澄の背中を押すとあまりの強さによろけたが、そのまま急いで川田の元へ走って行き楽しげに話していた。
「ねえ、私あの人どこかで見たような気がするんだけど。」
「それ私も思った、なんか見たことあんのよねー。」
「えー、なんで?あたし全然見覚えないんだけど。」
3人で川田を見ながら客なのかそれとも別の何かなのか、記憶が戻らずなんかスッキリしないきららとのぶ子だった。
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