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「…やっぱりわかんないよね?」
みゆきは相変わらずのニコニコ顔で僕に聞いてきた。
「…ごめん。」
「いいのいいの。分からなくて当然だから。」
意味のわからない言葉に、僕はまた頭を悩ませた。
そうしているうちに、さっきの店員が注文したロイヤルミルクティーを持ってきて、無駄な動きなくみゆきの前に置いて去っていった。
「ねぇ、ミルクティーとロイヤルミルクティーの違い知ってる?」
「え?」
みゆきはいたずらな笑顔で質問すると、早速一口飲み、あまりの美味しさに一番の笑顔を見せた。
…かわいいな。僕は素直にそう思った。カップを持ったまま停止し、じっと見とれてる僕に、みゆきは小さく手を振った。ハッと我に返った僕は、咄嗟に目を逸らした。
「ふふふ、ねぇ、答えわかった?」
「え?あぁ、えっと…。」
正直、答えはわからなかったが、頭が真っ白になってる僕は考えることも出来ず、考えるふりだけをしていた。
「はい、ブブー!正解はミルクティーはお湯で淹れてその後にミルクを注ぐだけなんだけど、ロイヤルミルクティーはミルクで煮たものなんだって。私も最近知ったんだけどね。」
「へ、へぇ。」
「私もね、牛乳飲めるようになったんだよ。…ね?」
何だ、今のセリフは。牛乳が苦手だった?これは新たなヒントか。
「いいのいいの。わからなくて当たり前だから。ところで、この後はどっか行くの?」
「えっと、本屋行って映画でも行こうかと…。」
「いい日曜日だね!映画かぁ。あれでしょ、スペースウォーズの最新作!」
ドンピシャな答えに僕は驚いた。
「好きだったもんね、スペースウォーズシリーズ。でも、スペースウォーズも凄いよね。あの頃からもう20年以上経ってるのに、未だに最新作やるんだもんね。」
…あの頃?20年前?この子は何を言ってるんだ?ヒントどころか、今まで開け続けた引き出しを更に全てひっくり返すくらいの訳のわからなさで、僕はコーヒーを一気に飲み干し、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
すると、みゆきもロイヤルミルクティーを飲み干し、立ち上がると僕の手を掴んだ。
「…え?」
「行こう、映画!いいでしょ?」
可愛らしい笑顔は何よりも輝いて見え、僕には頷く以外の選択肢が無かった。
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