もう戻れない

13/14
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
シゲとは時々連絡をとっていた。 なおちゃんと別れて3年以上過ぎた頃、シゲと久々に呑んだ。 アタシはまだ、指輪をしていた。 シゲに、「安西さんは元気?幸せに暮らしてる?」と聞いたら シゲは 「俺がもし結婚してなかったら、俺は絶対オマエのこと好きになってたと思う。オマエを幸せにしたいって思ってたと思う。辛い思いをして離婚して、離婚した後も色々苦労して、ずっとひとりぼっちでいるオマエのことがすげぇ心配だった。だから、太田さんと安西さんにオマエのこと話して、どっちかがオマエのこと幸せにしてくれればいいと思ってた。なのに、こんなことになって、結果的にオマエを幸せにするどころか苦しめてて、すげぇ自分に腹が立ってて。安西さんのことがどうしても許せない。だから、俺はあれから、安西さんとはあまり会ってない。田村さんや太田さんとは相変わらず呑んでるけど。安西さんが来る時は行かないことにした。」と言った。 「他の人を好きになって、その人がすぐに結婚できる環境にいた、ってだけのことだよ」 と言うと 「被ってないって言ってるけど絶対おかしいだろ。俺は絶対、二股かけてたと思う。二股かけて、すぐに結婚できる子の方を選んだんだと思う。」 と言った。 「だとしたら、なおさらじゃん?ちゃんと愛せてるかどうかもわからずに結婚したんだとしたら、なおさら、また離婚するかもよ?そしたらアタシ、やっぱり待っててあげなくちゃ」 と言うと 「オマエはホントにバカだな。そんな男でいいのかよ?」 と呆れた顔をした。 いいんだよ、それでも。 それでもアタシは、なおちゃんに戻ってきて欲しい。 なおちゃんのそばにいたい。 シゲに言った。 「安西さんがね、『どんなに辛くても、いつかきっと良い時が来る』って言ってたよ?だからアタシは、今が辛くても、良い時が来るって信じてるんだよ」 するとシゲは 「モコがちゃんと、安西さん以外の人を愛せるようになることを俺は祈ってるよ」 と言った。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!