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シゲとは時々連絡をとっていた。
なおちゃんと別れて3年以上過ぎた頃、シゲと久々に呑んだ。
アタシはまだ、指輪をしていた。
シゲに、「安西さんは元気?幸せに暮らしてる?」と聞いたら
シゲは
「俺がもし結婚してなかったら、俺は絶対オマエのこと好きになってたと思う。オマエを幸せにしたいって思ってたと思う。辛い思いをして離婚して、離婚した後も色々苦労して、ずっとひとりぼっちでいるオマエのことがすげぇ心配だった。だから、太田さんと安西さんにオマエのこと話して、どっちかがオマエのこと幸せにしてくれればいいと思ってた。なのに、こんなことになって、結果的にオマエを幸せにするどころか苦しめてて、すげぇ自分に腹が立ってて。安西さんのことがどうしても許せない。だから、俺はあれから、安西さんとはあまり会ってない。田村さんや太田さんとは相変わらず呑んでるけど。安西さんが来る時は行かないことにした。」と言った。
「他の人を好きになって、その人がすぐに結婚できる環境にいた、ってだけのことだよ」
と言うと
「被ってないって言ってるけど絶対おかしいだろ。俺は絶対、二股かけてたと思う。二股かけて、すぐに結婚できる子の方を選んだんだと思う。」
と言った。
「だとしたら、なおさらじゃん?ちゃんと愛せてるかどうかもわからずに結婚したんだとしたら、なおさら、また離婚するかもよ?そしたらアタシ、やっぱり待っててあげなくちゃ」
と言うと
「オマエはホントにバカだな。そんな男でいいのかよ?」
と呆れた顔をした。
いいんだよ、それでも。
それでもアタシは、なおちゃんに戻ってきて欲しい。
なおちゃんのそばにいたい。
シゲに言った。
「安西さんがね、『どんなに辛くても、いつかきっと良い時が来る』って言ってたよ?だからアタシは、今が辛くても、良い時が来るって信じてるんだよ」
するとシゲは
「モコがちゃんと、安西さん以外の人を愛せるようになることを俺は祈ってるよ」
と言った。
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